藤野倶楽部農園 宮本透さん

取材を申し込むと、「その日はまつばに野菜を持って行く日なので、朝から畑にいますよ」と藤野倶楽部農園の宮本さん。

旧藤野町唯一のスーパーの一角にも、こちらの野菜が並びます。

藤野倶楽部は、農園レストラン、体験農園、バーベキュー、キャンプ場、貸し古民家など様々な施設を運営されています。

今回はそちらの農園で働く、宮本さんにお話を伺いました。


—スーパーまつばに卸しているんですね。

宮本:2日おきに採りたての野菜をスーパーまつばに持って行っています。あとは第1,3火曜のビオ市、第2.4金曜のつくいやさいの宅配に出しています。こちらの畑に隣接する「無形の家」に宿泊されたお客さまに、カゴいっぱいに野菜を採っていただくということもしています。(とても大きなカゴで1,500円!)宅配も徐々にやり出しています。


—昔から藤野倶楽部さんで働いていたんですか?

宮本:2013年まで農業高校の教師をしていました。教員の家系で、祖父も父も校長でした。


—学生時代、教育学部で学んだということですか??

宮本:高校時代、進学校で挫折しましてね。最初は不本意入学の農学部でした。本当は教育学部に入りたかったんです。小学校時代、花壇の世話や飼育係をやったりして、「農業もいいかな」なんて深く考えていなくて。養護学校で障がいを持った子ども達と農業をやりたいという夢を持っていました。教育学部の養護学校教員の養成課程を再受験して、農業を基礎免許にしました。農業高校の教員の免許を取る過程が面白くて。


—それで農業高校の先生になったんですね。

宮本:スムーズにはいきませんでした。色々あって、2年生くらいから学科の授業に出られなくなって。豆腐屋をやったり土方をやったりして留年し、中退するつもりでいました(笑)でも当時の農学科の教授が編入させてくれて「農業の勉強をしよう!」と心新たに学んで、教師になりました。大学附属の養護学校で5年間、神奈川にUターンして県立の養護学校で6年間、障がいを持った子どもたちと作業学習で畑をやって、農業高校に異動しました。


—藤野倶楽部にはどういったご縁で?

宮本:学校を辞めてから2年間パートで暮らしていて、腐っていたんです。(笑)そんな中、秦野市の公民館で手もみ茶の講習会があって参加しました。講師は農業高校の卒業生でした。彼、手もみ茶の品評会で日本一になったんですよ。彼の作るお茶は糸のようにきれいだったんです。彼が生徒の時、意見発表会で「静岡でお茶づくりを勉強し、家業を継いでお茶農家になる!」と将来の夢を語っていたことを思い出しました。10年間目標に向かって努力するとここまで極めるのかと本当に感動しました。

それで、農業を仕事にしたいとハローワークに通いましたが、神奈川では職が見つからず、大学時代農学科に編入させてくれた教授に相談したところ、こちらを紹介していただきました。

教授は雑穀の研究者です。お百姓クラブのミーティングで、教授に「先生と藤野のかかわりのきっかけは何ですか?」と質問すると、「宮本君たちの大学時代、秋山村(現上野原市)を調査した時に入手した粟の種子があったよね。藤野で雑穀を復活させたいと研究室に相談にこられたお百姓クラブの方たちに、その粟を提供したのがきっかけですよ。」と雑穀の話が出て、運命を感じました。今藤野駅の裏側で雑穀も育てているんですよ。


*お百姓クラブ:地域とのつながりの中で、持続可能な「食」と「農」のあり方を模索し、食の自給自足、自然の循環を活かした農法、在来種・固定種の継承、生産者・消費者双方の顔が見える流通形態、自然の摂理を活かした食品加工や保存法、安全で豊かな食を提供できる場(マーケットやレストラン)の創出などをテーマに活動している。


—現在は畑の毎日ですが、教師時代とはだいぶ違いますか?

宮本:藤野は3月末でもだいぶ冷え込むんですよね。朝はマイナス5℃とかになります。夜中に温室へ行って苗に毛布をかけたりなんてこともありますよ。今はつくいやさいのメンバーである、畑の先輩方に色々教えてもらっています。地元のお百姓さんとか、苗を本格的に育てている方との情報交換できるのも有り難いですね。


—農薬や肥料はどんな感じですか?

宮本:完全無農薬でやっています。肥料は、飲料メーカーが使ったお茶ガラやコーヒーかすの堆肥や緑肥(イネ科、豆科)などです。牛糞や豚糞も使っていません。


—藤野倶楽部で運営されている安心農園というのは?

宮本:貸し農園です。東京や横浜の方から来られる方もいます。種子や苗、道具などもこちらで用意するので、気軽に畑の体験をしていただけます。随時相談にも乗っているので、初心者の方には大変喜んでいただいています。レストハウスの無形の家で収穫したての野菜を調理してもらったりもできますよ。


—お茶も栽培していらっしゃるんですよね?

宮本:お茶は4年目です。佐野川や名倉なんかで栽培しています。お茶は藤野地区の特産品なんです。お茶栽培には農薬をたくさん使うのですが、藤野倶楽部の茶園は農薬を使わないでやっているんですよ。


—これからどういったことをやっていきたいですか?

宮本:色々な業務に追われる毎日ですけど、いずれは種子を自家採取したいし、固定種でやりたいですね。苗作りももっと力を入れてやりたいです。農業高校で教師をやっていた時代は、育苗専門で花苗とかも生産していたんです。


真面目を絵に描いたような宮本さん。どんな質問にも直球で答えてくれます。この辺りで就農している若い農家さんを「先輩」と呼んで、いろいろ教わっているんだというその姿勢に心打たれました。

畑にいる宮本さんはイキイキとてもいい顔をしているのでした。

(写真 三谷 浩)


【藤野倶楽部農園データ】宮本透さん

生産地:旧藤野町(佐野川、名倉、牧野)

規模:全体で約2ヘクタール

栽培品目:40〜50品目

栽培方法:無農薬、有機栽培

出店情報:第1、3火曜ビオ市(藤野倶楽部にて)

     スーパーまつば(緑区日連)

HP: http://www.fujinoclub.co.jp/plan.html

   http://www.tsukuiyasai.com/nouka.html(つくいやさい)

FB:https://www.facebook.com/fujinoclub/?fref=nf(藤野倶楽部)

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